2006年02月04日

第一話 独り言から始める創世

石盤.png




 仄暗い部屋がある。
 部屋は大きくないし、小さくもない。ベッドとデスクとチェアとドレッサーと、その他こまごまとしたいくつかの家具が雑然と置かれていて、クローゼットもついている。デスクの上にはパーソナルコンピュータが鎮座し、その周辺にはコンピュータとコードで結ばれたいくつかの機材がデスクからはみ出しつつ配置されている。人の動き回ることのできるスペースは少し足りないようだが、独りになるための部屋としてはこの閉塞感も申し分ない。西の窓にブラインドがかけられていて、赤い微光が漏れ出している。

 ガチャリ、と音がした。
 ノブを回す手は、すぐさま光をさえぎるための“ひさし”と変わる。その姿はわずかばかりに漏れ出す光に苦手というより嫌悪といった風で、その手はわなないている。おかしな点は、その“ひさし”が眼球を守っているのではないことだった。部屋に入る前から、目にはサングラスがかけられていたかので目を覆わない理由はすぐにわかるが、首を守る道理はそう簡単に考え至らない。まるで、光を浴びれば首が腐り落ちてしまうとでも言いそうな雰囲気である。
 手で首を隠した男、ジェイル・ロウは窓に駆け寄り、ブラインドの角度を垂直に調整する。

 暗澹。

「Let there be light」(光あれ)
 ジェイル・ロウがそう呟くと、デスクの上に置かれたディスプレイが風きり音のような音と共に発光し、コンピュータが駆動音を唸らせる。
 わずかな光がジェイル・ロウの相貌を照らす。
 そこには包帯で表情を奪われた、さながらミイラ男の顔があった。
 重機を引きずるような低音で、ジェイル・ロウはマシンに指図する。
「Application software “hexaemeron” run」(アプリケーションソフト『天地創造』、起動)
 音声入力に対応したコンピュータは、ディスプレイにウィンドウを表示させる。
 黒の背景に、金の装飾文字をした英語で『天地創造』。その右下には同じ書体で『ソフトウェア開発者 ジェイル・ロウ』とある。
 ジェイル・ロウはデスクの上に置かれたプロジェクタの電源を入れた。ディスプレイと同じ画面が部屋の壁に映し出される。ジェイル・ロウは椅子の背凭れに顎を乗せるようにして座り、映し出された壁を見据えた。

「Shortcut」(ショートカット)
 続けざまに「Load the “Distorted cube”」(『歪曲六面体』のセーブデータををロード)
 そして、「Input method remote-control gadget」(入力方式をコントローラに変更)
 画面はジェイル・ロウの指示通りに目まぐるしく変わり──。



 now loading…



 now loading……



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 push start!





 ようやく。ようやくです。ようやく、やりたいことを始められた!
 苦節二十八年。思えば長く苦しい年月だった。
 だがっ、今こそ。
 今こそここにタブレット購入(および銀幕舞台開設)記念作品『タブレット』を開始する!



 ツッコミどころはたくさんありますが、ありすぎるのでセルフツッコミは控えます。

 しぃペインター掲示板で描いてきたのですが、まだまだ機能がよくわかってないです。マスキングとかトーンとかエンボスとかグラデーションとかテクスチャとか使いこなせるようになりたい(決意)。
 影のつけ方がイマイチわからないなぁ。もっと白と黒の対比をしてみたかったですけれど、色も見せるようにしたいし、絵を潰すのはいやだし。そんなこんなでやってたら、変な色合いになってしまいました(鬱)。足元とか、上のほうとか、もっと暗くてもよかったかなぁ。
 書き物としても、初のシリーズものです。

 続けばいいなぁ……。
posted by clown-crown at 19:45| パリ ☁| Comment(7) | TrackBack(0) | 石盤(タブレット) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
プロフィールで年齢を曖昧にしている意味ないジャン!
Posted by mentai at 2006年02月05日 00:11
「あれ? 歳がバレた?」

 冗談だよ、冗談。自分ですらツッコミを放棄したボケにツッコんで下さるのは涙が出そうだけれど、ツッコミ方がなんかちょっと間違ってるっす。それともこれは高度なコンビボケを期待されているのか? だとしたら私は失敗だ。
 私のボケはわかりにくいかよっ!(自分へのツッコミ)
 苦節二十八年って、だったら構想は何歳からなんだろう。私、そんなに年配に見られているのだろうか?
Posted by clown-crown at 2006年02月05日 00:56
ああ、これボケだったのですか。構想期間じゃなくて、てっきり生まれて初めてという意味かと。
数字がそれほど現実離れしていないので全く気づきませんでした。もう二十年くらい足して下さい(笑)。
Posted by mentai at 2006年02月05日 10:29
 物書きにはもうひとつ活用方法がありまして。
 彼女とのデート中、女友達から電話がかかってきて、用件は大したことなかったので「うんうん」とうなずいているうちに通話が終わる。彼女は、
「今の誰?」
「友達」
「女の子だったでしょ?」
「ち、違うよ」
「嘘。だって声聞こえてたもん!」
 普段優しい彼女が、彼氏のケータイを引ったくり……べきっ。
 そんな書き物をしたときにはリアルになりますよ。

 特に返信する内容がなかったので某所への返信をここで済ましてしまう(というか、返信になってないが)。
 自分がオーナーのときぐらいは、おもてなしさせていただきます。
Posted by clown-crown at 2006年02月05日 14:15
 くそっ! ねずみの分際で人様を馬鹿にしやがって! 
「トイレー!!」
 はさすがになめてるぞこの下等生物め。
 ま、いいか。

 相変わらずclown-crownという存在は混沌としてるな、と気づくこの頃。それが必ずしも自分自身の意志に基づいた行動なのかが気になるところだが、まあ気にするほどでもないだろう。
 キューピッドは天使。一介の天使。人様の本質を窺い知る力など与えられていない。
Posted by キューピットの人。 at 2006年02月06日 09:31
前回は我がお家まで訪ねて下さってありがとうございました。
素敵なHPですねvv
↑の話、とても素敵で面白い(?)です。
これからもチョクチョク遊びにこさせて下さいね(*^^*)
Posted by 松翠 at 2006年02月06日 16:19
>キューピットの人
 ちなみに私……。やめときます。せっかく混沌をまとっているので。
 あなたも気軽にキューピットとは呼べない人でしょうともよ。私とは違い、ここ最近本性を曝け出しているようですけれど。
 人生いろいろよね。

>松翠さま
 こんな時間にこんにちは。そちらは何時なのでしょう。
 いやはや、こんな書き物をお読みくださり感謝の念が絶えません。
 このブログは物書き比率が非常に高いので、どちらかというと絵描きの松翠さまにはきついかもしれませんが、よろしければいつでもおいでくださいませ。お待ちしております。
Posted by clown-crown at 2006年02月06日 20:18
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