2008年06月29日

第四話 運命へのほんのささいな反逆

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「南十時が輝いていた。
 意識的なものでしょうか、無意識のことでしょうか。無意識だとしたら、なお悪い」

 ジルリルジルリル。

 鳴き声に気が付けば、瘤鼠に囲まれている。
 おおかた、先ほどの夜を本物だと勘違いでもして月片花の蜜を吸いに来たのだろう。瘤鼠は夜行性で好戦的。夜ではないのに起こされた苛立ちが、私に向いている。
 一匹が私めがけて飛び込んでくる。瘤鼠の脚力から繰り出される助走と跳躍による体当たりは一瞬で着弾する。瘤もあいまって、思い切りモーニングスターで殴られたときのような痛み。
 一匹が跳べば、みな跳ぶ。次々と的に向かってぶつかってくる瘤鼠たち。防御しようと構えても、別方向から絶え間なくやってくる。
 当たり所が悪かったのか、数多の一撃によって下半身の踏ん張りが利かなくなった。それを見越したように、後頭部に強い衝撃が奔る。花の中に斃れた。

 横倒しになった視界の中に石版を見ている。
 石版は、神威法によって瘤鼠を掃討せよと指示している。

 従いたくなかった。斃れてもなお攻撃の手を休めない瘤鼠によって私は意識を失いかけている。タイミングさえ合えば、死はとてもあっけなくやってくる。死に神はどんな顔をして私に手を差し伸べるのだろう。興味が湧いた。
posted by clown-crown at 01:49| パリ ☁ | TrackBack(0) | 石盤(タブレット) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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